名称と定義

英語: dinosaur はギリシア語: δεινός (deinos) 「恐るべき、驚異の」 + σαῦρος (sauros) 「とかげ」の合成であり、1841年、それまでに発見されていた3種の化石爬虫類(イグアノドン、メガロサウルス、ヒラエオサウルス)の新しい分類名として、当時大英博物館館長だったリチャード・オーウェンによって命名されたものである。 日本語「恐竜」はその訳語。「とかげ」を1字で表現できる漢字がないため、語根 saur には「竜」をあてるのが通例である。

通俗的には、「恐竜」という言葉は往々にして「大昔の巨大爬虫類」という程度の把握しやすいイメージで理解されており、翼竜や魚竜、首長竜などもひっくるめた概念として呼ばれる場合が多い。いわゆる“恐竜展”や子ども向けの“恐竜図鑑”などでも、翼竜、魚竜、首長竜を展示/掲載するものはよく見かける。

いっぽう、学術用語としての「恐竜」は、地表に生息しているもののみを指し、翼竜、魚竜、首長竜などは一切含まないものである。 本項ではこの定義に基づいて解説をすすめている。

系統図

  • 有羊膜類 Amniota
    • 竜弓類 Sauropsida
      • 爬虫類 Reptilia
        • 爬虫類 Reptilia
          • 主竜形類 Archosauromorpha
            • 主竜類 Archosauria
              • 恐竜類 Dinosauria ★
                • 竜盤類 Saurischia
                • 鳥盤類 Ornithischia

概要

原爬虫類から進化し大型化した群で、直接的祖先は主竜類中の一群、鳥頸類である。分類学的には竜盤類と鳥盤類を恐竜とする。翼竜、魚竜、首長竜など恐竜と同時代にはさまざまな大型爬虫類が出現したが、現在では分類上、これらを恐竜には含めない。この3グループの系統上の位置は爬虫類を参照。現生の動物では鳥類が最も近い生物であり、ワニ類がそれに次ぐ。カメ類はこれより遠く、ヘビ・トカゲ類(有鱗目)とは更に遠い系統関係になる。

恐竜の大きさは種類によって大きく違っていた。最も小さいものではニワトリほどの大きさだった。最大のものは竜脚類で、その中でもアルゼンチノサウルスが分かっている範囲では最も大きく、クジラ類を除けば地球の歴史上最も大きな動物である。さらに、アンフィコエリアスはクジラより大きかったとされる。ただし、こちらは実在が疑問視されている。

いずれにせよ、恐竜が地上最大の動物だったことは間違いない。また、体重についてはブラキオサウルスなどが40トン以上だったと考えられている。

また、恐竜は多様な進化をしたことでも知られる。大きな特徴として二足歩行が挙げられる。四足歩行に二次的に戻ったものもいる。

恐竜の祖先は肉食性だったが、進化の過程で草食化したものが初期から登場した。

なお、現在でも新種の恐竜の化石が発見される、同種だと思われていた恐竜が別種だった、逆に別種だと思われていたが同種だった、骨格から体の特徴が改められるなどの新発見が相次いでおり、毎年のように最も有力な学説は変化している。すなわち恐竜研究は現在も速い速度で進展しつづけているのであり、現在最も有力な知見が将来も有力であり続ける保証は存在しない。

恒温動物説

初めて恐竜が見つかった時には、爬虫類であることも踏まえて変温動物と考えられていた。それに異を唱え、「恐竜は恒温動物である」とした研究者にはジョン・オストロムや彼の弟子のロバート・T・バッカーなどがいる。彼らを含む研究者の一部は、恐竜を含む主竜類、特に小型の獣脚類は温血動物であったと主張している。しかしながら脳の発達の程度、骨に年輪が見られることなどから恒温性を否定する研究者も多く、最終的な同意はとれていない。また大型の竜脚類などでは「慣性恒温性」で体温を保っていたとする主張もあり、現在も研究が続けられている。

羽毛をもった恐竜

最初期の鳥類の始祖鳥は、19世紀にドイツのジュラ紀の地層で発見された。始祖鳥の発見以降は鳥類の化石はほとんど見つからず、鳥類の起源については諸説が乱立していた。

しかし、1990年代以降、中国の白亜紀の地層で羽毛をもった恐竜の化石が相次いで発見され、鳥類と恐竜の系統関係が明らかになってきた。 羽毛をもった恐竜には、シノサウロプテリクス・プロターケオプテリクス・カウディプテリクス・ミクロラプトル・ディロングなどがある。

これらの発見から、従来は鳥類の固有の特徴と見られてきた羽毛が恐竜にも存在していたことが分かり、この羽毛をもった恐竜のグループから空を飛ぶ鳥類が進化したことが明らかになってきた。 このように現在では、鳥類の先祖は恐竜の獣脚類の一種であることがほぼ定説となった。

姿勢・歩行法の特徴

恐竜はトカゲ等の一般的な爬虫類とは異なり、胴体のほぼ真下から足が生え、現在の鳥類に近い姿勢で歩行していたと推測されている(というよりは、鳥類の歩行法が祖先の恐竜から伝わった特徴だと見なすのが妥当)。この特徴によって恐竜は大型化と敏捷な動きが可能になっていたと考えられている。

同様に胴体から真下に足の生えた哺乳類と恐竜との違いは、恐竜は祖先が二足歩行であったために二足歩行の種が多い点である。四足歩行の恐竜も数多いが、あくまで二足歩行の恐竜が体重の増加等の理由で二次的に四足歩行に復帰したものである。この為か、四足歩行の恐竜でも体重の大半は後足が支える形となっている。

二足歩行の恐竜の多くは後足を中心に長い尾によって上半身と下半身のバランスを振り子のようにとっていたと考えられている。かつてのように、尾を引きずりながらペンギンのように歩く復元は、現在では間違いとされる。

恐竜の色

恐竜がどのような色をしていたのかは明らかではない。 図鑑などに載っている恐竜の色は現世動物をもとに推測したものであり、以前は爬虫類と同様の茶色やくすんだ緑色など地味なものが多かった。 その後、鳥類との関係が認知され、羽毛をもつ恐竜が発見されるに従い、カラフルな恐竜の復元画も登場してきている。

2008年、ヤコブ・バンターらは恐竜の羽の化石中に含まれるメラニン色素を解析することにより、オリジナルの色がどのようなものであったか判別することに成功した。今後、羽に覆われた保存状態のよい皮膚組織の化石が発見されれば、恐竜がどのような色をしていたのか解明することが可能と主張している。

行動

恐竜の生態は謎に満ちている。というのも、恐竜は絶滅してしまっているため、その行動を直接見ることは出来ないのである。数少ない物証としては、ヴェロキラプトルとプロトケラトプスが戦っている状態で見つかった化石や、鳥類のように丸まって眠っている姿勢で発見されたメイ・ロンの化石、同種の歯型が多数残り共食いをしていたことが推定されるマジュンガサウルスの化石がある。

恐竜の行動の多くは足跡や巣の状態から類推することができ、化石のみで情報が乏しいながらも、骨格から推測される筋肉、足跡の計測などから、おおよその歩行速度を求める試みも一部ではある。

また、子供を育てるなど現在見られる哺乳類動物と類似する社会性をもった恐竜もいたと考えられている。社会性をもつと、捕食動物にもよるが、捕食者が近づいて来た場合の警告がしやすい。また、彼等は家族単位で長距離の移動をしていたともいわれる。しかし、これらはまだ研究者の間で議論中の論点であり、異論も少なくない。

絶滅

恐竜をはじめとする大型爬虫類は白亜紀末期に絶滅し、その滅亡原因については諸説ある。もっとも、鳥類は絶滅を逃れ進化した恐竜との見方を取れば、恐竜は絶滅してはいないことになる。

  • 短時間で滅んだとする激変説(隕石衝突説・すい星遭遇説・伝染病説など)
  • 長時間かかったとする漸減説(温度低下説・海退説・火山活動説など)

そのうち、現在最も有力とされているのは巨大隕石の衝突のパターンである。隕石衝突による恐竜の絶滅を最初に提唱したのは物理学者ルイス・アルバレスとその息子で地質学者のウォルター・アルバレスであった。二人は1980年代に、巨大隕石の衝突による地球規模の大火災で生態系が破壊され、衝突後に生じた塵埃が大気中に舞い、日光を遮断することで起きた急速な寒冷化が絶滅の原因であると示説した。これは激変説と漸減説の複合に近い形である。

この説の根拠は、中生代白亜紀層と新生代第三紀層の間の黒色粘土層(通称K-T境界層)中のイリジウムが数十倍の濃度であること(イリジウムは地殻にはほとんど存在しないため、地球外由来と考えられる)、またユカタン半島の地下に巨大なクレータが発見されたこと、などがある。直径11kmの隕石が秒速40kmで衝突したと考えられている。

ただこの説では、なぜ同時期に存在した両生類や爬虫類などが絶滅を免れたかという疑問が残る。また恐竜は非常に多様な進化を遂げており、これが全て絶滅してしまった結果を説明することが難しいという難点があり、これらの指摘を受け、発表初期では可能性として最も低いパターンと認知されていた。

軟組織の発見

2000~2003年、米モンタナ州の約6800万年前の地層で見つかった恐竜化石から、ティラノサウルス・レックスの化石化していない軟組織が発見された。

但し2009年頃には、それが現代のバクテリアの粘液に由来するものではないかという疑惑が浮上している。

他にもカモノハシ竜のミイラ化石とされる「ダコタ」など、軟組織が含まれているのではないかと考えられる化石は存在する。

恐竜項目一覧

  • ティラノサウルス
  • ケラトサウルス
  • トリケラトプス

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